ときどきくさっぱら ●3号(04.2.19) ●2号(02.12.6)

ときどきくさっぱら 2号 2002年12月6日発行 1面
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開園の年から約10年にわたって発行してきた「今月のくさっぱら」が、2002年夏から不定期刊の「ときどきくさっぱら」として再スタートしました。その最新号を再構成してお届けします。おりを見てバックナンバーも順次掲載する予定です。
 

サクラキル

実は…たいへんに残念なことなのですが、去る11月30日に桜の樹を切ってしまったご報告をしなければなりません。
保育園側の小道にはり出した部分にあった樹です。眼の高さで直径50cmはあったと思います。太い幹が腐って中が空洞になってきている、ということでの伐採です。何人かが掃除を兼ねて伐採に立ち会いました。
これは、何度立ち会っても、慣れることのない切なさがあります。降ろされた枝先は弱っているとも思えない弾力を持ち、たくさんの花芽をつけていました。
思えば、桜の樹は花の盛りと散るところまでは注目を浴び華やかですが、葉を茂らせる夏や寒さを耐える冬に、その姿がじっくり見られることは少ないかも知れません。
冬の枝先は、ストローの紙袋をぎゅっと押し縮めたときのように皺くちゃで、そこに、伸びる力をぎゅうとため込んでいるように見えます。枝先からだんだんに太くなっていくのを目で追うと、桜独特の光沢のある樹皮がその皺の間から現われてきます。
「もうダメだから切りましょう」ということだったのですが、こういう生きる意志を持った枝にさわっているうちに「それって、ほんとう?切ろうっていうのは所詮人間の都合だよなあ」という思いがこみあげてきました。体に空洞を抱えつつも生き続ける樹だってあるんだから。

 
かくして、「ああ、まただなあ」と思いつつやっぱり枝先や手ごろな枝、鋸屑を拾ってきてしまいました。枝先と鋸屑では毛糸を染めてみました。
黄色と茶色です。草木染め大好きな金田さんにも宅急便で一箱小枝を送りました。
直径5cmくらいの枝を持ち帰った木下さんは椅子をつくるつもりです。全部捨てずに、公園に残してあります。
よかったらあなたも拾いに行ってみて下さい。

 
 

救いは やご(根元から出ている1cmくらいの細枝)を残して切ってもらえたこと。何年か後にはお花見ができるかもしれません。長生きしようね。

 
 

 
 
 

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